中野京子著『印象派で「近代」を読む』の感想と要約です。

サクラノ詩の影響で読みました。
「サクラノ詩の制作で参考にしたのかな?」と思うほど内容に重複があり、かつ、背景を補完してくれる良書でした。

本の主題は「印象派の絵から近代を読み解く」という内容でしたが、
以下では、サクラノ詩と関連が深い項目を中心に要約を書きます。

・印象派の特徴は、主題より感覚、形態より印象を重視すること。
・印象派は、既存の権威に反逆し、新時代の「前衛運動」をめざし、ついには世界の美術市場を激変させた、芸術上の革命家たちだった。
・印象派は、サロンに入選できなかった画家が活路を見いだすために自作を持ち寄って展覧したことが始まり。
・「印象派」という名前は、バロック(歪んだ真珠)と同じく、モネの『印象-日の出』に対する嘲りから始まっている。
・「印象派の父」と呼ばれるマネが、ルネサンス以来の明暗法と遠近法を捨て去った作品を発表したことにはじまっており、その作風は浮世絵からの影響を受けている。
・「オランピア」で描かれるヌードは、神々やら遠い歴史上の人物というエクスキューズがない限り許されないものだった。
・印象派以前は、絵はどうやって鑑賞すべきかを、専門家たるアカデミーに教えてもらわねばならなかった。
・ピグマリオンとガラテア(非印象派)では、女性の肉体はピカピカつるつる、神話の知識がないと意味が分からない。
・チューブ入り絵の具は、画家になれなかった人たちが創作を断念して作った。
・写真は、これまでに無かった新鮮な視覚であり、印象派の画家たちに大きなインスピレーションを与えた。
・カメラがあるのになお絵を描く、というからには、見る者を深く納得させるプラスアルファが必要。
・マネの「ナナ」はドゥミ・モンディーヌ(半社交界に生きる女性)であり、溌剌とした姿が描かれている。そこになんら社会構造の矛盾もそれに対する批判もない。マネの視線は、パトロンと同じもの。
・紳士と貧困女性の接点は「性」だった。
・ゴッホは、下手くそだったが、田舎アルルでメタモルフォーゼ。
・「ジャポニズム」がヨーロッパを席巻したのは、日本が開国し、パリ万博に浮世絵や工芸品を出品したのが機。
・印象派は、絵画が商業利用される幕開けの申し子。
・背景が思いもよらないものであっても価値が変わらないものが真の芸術作品のはず。